
1. 【結論】平均年収は「病院看護師」の方が高い
結論から言うと、平均的な年収は「病院看護師」の方が高い傾向にあります。
厚生労働省の調査や各種求人サイトのデータ(2024年〜2025年最新)を統合すると、おおよその目安は以下の通りです。
勤務先 平均
病院(一般・急性期) 約500万〜550万
なぜ病院の方が高いのか?
病院、特に急性期病院の給与が高い最大の理由は**「夜勤手当」と「残業代」**です。病院では月4〜5回の夜勤が標準的であり、1回あたり1万円〜1.5万円程度の手当がつきます。これだけで月に5万円前後、年間で60万円以上の差がつきます。
一方で介護施設は、夜勤がない「デイサービス」や、夜間はオンコール対応のみの「有料老人ホーム」も多く、手当の総額が病院に及びません。
2. 介護施設の種類別・給与ランキング
「介護施設」と一括りにしても、施設形態によって給料には大きな差があります。
① 有料老人ホーム(高め)
民間企業が運営する有料老人ホームは、介護施設の中では給与が高めに設定されています。特に都市部の高級老人ホームでは、病院時代と変わらない、あるいはそれ以上の月給(35万円〜)を提示しているケースもあります。
リハビリを目的とする老健は、夜勤があることが多く、給与体系は病院に近いのが特徴です。年収450万円〜500万円程度を狙えるラインです。
③ 特養・デイサービス(やや低め〜安定)
特別養護老人ホーム(特養)は地方自治体や社会福祉法人が運営することが多く、基本給は安定していますが、劇的な高収入は望みにくい側面があります。デイサービスは夜勤がないため、年収は400万円前後になることが多いです。
3. 病院看護師の給与の内訳と「隠れた負担」
病院看護師の給与が高いのには、それ相応の理由があります。
• 夜勤手当の積み上げ: 準夜勤・深夜勤の交代制勤務による手当。
• 特殊勤務手当: 手術室、ICU、救急外来など、高度な専門性を要する部署への手当。
• 残業代: 急変や緊急入院、膨大な記録業務による残業代が毎月数万円単位で加算されます。
注意点:
「額面」は高いものの、肉体的なハードさや精神的プレッシャーを考慮した「時給換算」で見ると、必ずしもコスパが良いとは言えない場合もあります。
4. 介護施設看護師の給与の魅力と「手当」の仕組み
介護施設へ転職すると、額面上の年収は下がるのが一般的ですが、別のメリットが見えてきます。
オンコール手当という仕組み
入居型施設では「オンコール(夜間電話待機)」があります。実際に病院へ駆けつけなくても、電話対応1回につき数千円、待機するだけで1,000円〜3,000円程度の手当がつく場合があります。
介護報酬改定の影響
2024年度以降の介護報酬改定により、介護現場で働く職員の処遇改善が進んでいます。看護師もその対象となるケースがあり、以前よりも病院との格差は縮まりつつあります。
5. 給料以外で比較すべき「QOL」の差
「給料が100万円下がるなら転職しない」と決める前に、以下の働き方の違いをチェックしてみてください。
■ 残業時間
• 病院看護師: 多い傾向(月10〜30時間程度)。急変対応や記録業務、申し送りに時間がかかりやすい。
• 介護施設看護師: 少ない傾向(月5時間未満も多い)。ルーチンワークが中心で、定時で帰りやすい。
■ 休日・休暇
• 病院看護師: 不定休のシフト制。希望休は出せるが、連休取得や土日休みは調整が必要。
• 介護施設看護師: 施設により土日休みや固定休がある。特にデイサービスなどは規則正しい。
■ 精神的負担
• 病院看護師: 非常に強い。命に直結する現場であり、常に高い緊張感が求められる。
• 介護施設看護師: 比較的安定。入居者一人ひとりと長期的に向き合う「生活の場」としての看護。
■ 医療処置の頻度
• 病院看護師: 多い。高度で最新の医療技術、点滴、採血、術後管理などが日常的。
• 介護施設看護師: 少ない。バイタルチェック、服薬管理、経管栄養、褥瘡処置などが中心。
■ 体力的な消耗
• 病院看護師: 激しい。広い院内の移動、頻繁な体位変換、バタバタとした立ち仕事が多い。
• 介護施設看護師: 比較的緩やか。施設内の移動距離も限られ、自分のペースで動きやすい。
■ 将来のキャリアパス
• 病院看護師: スペシャリスト(専門・認定看護師)や、師長などの管理職を目指す。
• 介護施設看護師: 施設長、ケアマネジャー、在宅医療への展開など、地域ケアのプロを目指す。
時給換算」で考えると逆転することも
病院で月30時間残業し、夜勤を月5回こなして年収550万円稼ぐのと、介護施設で残業ほぼゼロ、日勤メインで年収450万円稼ぐのを比較した場合、**プライベートの時間や心身の健康を含めた「実質的な報酬」**は介護施設の方が高いと感じる看護師も多いです。
6. 【ケース別】あなたにはどちらがおすすめ?
病院看護師が向いている人
• 20代〜30代前半で、とにかくスキルアップしたい。
• 夜勤をバリバリこなして、年収500万円以上をキープしたい。
• 最先端の医療機器や薬剤に触れていたい。
介護施設看護師が向いている人
• 子育てや介護と両立させたい(ワークライフバランス重視)。
• バタバタした急性期のスピード感に疲れてしまった。
• 高齢者とゆっくりコミュニケーションを取る看護がしたい。
7. まとめ:給料の「額面」よりも「働き方」で選ぶ時代
介護施設看護師と病院看護師を比較すると、金額面では病院に軍配が上がります。 しかし、介護施設には「残業の少なさ」「精神的なゆとり」「地域密着のやりがい」という、病院にはない価値があります。
最近では、**「高給与な有料老人ホーム」や「オンコール手当が充実した訪問看護」**など、病院並みの収入を得られる介護・地域医療の選択肢も増えています。
「今の給料に満足しているか?」だけでなく、「その給料を得るために、何を犠牲にしているか?」を一度考えてみるのが、後悔しない転職の第一歩です。