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看護師の限界を超える?「特定看護師」とは何か。資格のメリットから取得後のリアルまで徹底解説!

看護師として数年働き、「もっと深く医学を学びたい」「医師を待たずに、目の前の患者さんのためにできることを増やしたい」と感じたことはありませんか?そんな志を持つ看護師の間で今、最も注目されているのが**「特定看護師(特定行為研修修了看護師)」**です。

 

2025年を過ぎ、超高齢社会が本格化する中で、特定看護師の役割はますます重要になっています。今回は、特定看護師の基礎知識から、取得するメリット・デメリット、そして気になる「給料や働き方の変化」まで、じっくり解説します。

 

1. 「特定看護師」とは? 医師の指示を待たずにできること

 

特定看護師とは、厚生労働省が指定する「特定行為研修」を修了し、医師があらかじめ作成した「手順書」に基づいて、一定の診療の補助(特定行為)を自らの判断で実施できる看護師のことです。

これまでの看護師は、どんなに経験があっても、点滴の速度変更やチューブの抜去一つとっても「医師の指示待ち」が必要でした。しかし、特定看護師は違います。

 

特定行為の具体例

特定行為は21区分38動作に分かれています。例えば以下のようなものがあります。

 

• 呼吸器関連: 人工呼吸器の設定変更、気管カニューレの交換。

• 循環器関連: 強心剤の投与量の調整。

• 外科関連: 創部のドレーン抜去、直接縫合の補助。

• 慢性期関連: インスリンの投与量の調整、脱水時の点滴補液。

 

これらを「手順書」というツールを介して、現場でスピーディーに実践できるのが特定看護師の最大の特徴です。

 

2. なぜ今、特定看護師が求められているのか?

背景には、日本の医療が直面している「2つの課題」があります。

 

① 医師の働き方改革

2024年4月から医師の時間外労働に上限が設けられました。医師の負担を軽減するため、これまで医師が行っていた業務の一部を、専門性の高い看護師が担う「タスク・シフト(業務の移管)」が急務となっています。

 

② 医療の複雑化とスピード感

救急現場やICU、あるいは在宅医療の現場では、数分の遅れが容態を左右します。特定看護師がいれば、医師が駆けつけるのを待つ間に「適切な処置」を開始できるため、救命率の向上や患者さんの苦痛緩和に直結するのです。

 

3. 特定看護師になるメリット:キャリアとやりがい

苦労して研修を受けるだけの価値はあるのでしょうか? 実際に取得したナースたちが感じる「得」を整理します。

 

臨床推論能力が飛躍的に向上する

研修では、解剖生理学から病態生理、薬理学までを徹底的に学び直します。「なぜこの症状が出ているのか?」を医師と同じ目線(臨床推論)で考えられるようになるため、看護の視点もぐっと深まります。

チーム医療のキーマンになれる

医師からは「信頼できるパートナー」として、後輩ナースからは「頼れる相談役」として扱われます。カンファレンスでの発言力も増し、自分の判断が患者さんの回復に繋がる実感は、一般の看護業務では味わえない大きなやりがいです。

キャリアの選択肢が広がる

 

特定看護師の配置は病院の診療報酬(加算)に関わるため、転職市場でも非常に有利です。また、訪問看護ステーションでの管理者や、特定行為研修の指導者など、将来のキャリアパスが多岐にわたります。

 

4. 取得までの険しい道:デメリットと覚悟すべきこと

光があれば影もあります。特定看護師を目指すなら知っておくべき「現実」です。

研修の負担が重い

研修は半年から1年程度かかります。働きながら通うのは並大抵の努力ではありません。eラーニング、演習、そして実習。膨大なレポート提出に追われ、「学生時代より勉強した」という声がほとんどです。

 

責任の重圧

「自分の判断で処置を行う」ということは、それだけ責任も伴います。手順書があるとはいえ、万が一の事態が起きた際、自分の判断が適切だったか厳しく問われることになります。

給与への反映がまだ不十分

残念ながら、現時点では「特定看護師になったから即、月収5万円アップ!」という病院は多くありません。数千円〜1万円程度の「特定行為手当」がつくケースが増えていますが、責任の重さに見合っていないと感じる人もいるのが現状です

5. 【実践編】特定看護師になるためのステップ

もし「挑戦してみたい!」と思ったら、以下のステップを踏みましょう。

 

1. 実務経験を積む: 一般的に、看護師免許取得後「5年程度」の実務経験が求められます。

2. 研修施設を選ぶ: 自分の病院が指定研修機関であればスムーズですが、そうでなければ外部の施設を探す必要があります。

3. 病院の理解を得る: 研修中は勤務を調整してもらう必要があるため、看護部長や医局の協力が不可欠です。

4. 共通科目・区分別科目の履修: 基礎となる共通科目と、自分の専門に合わせた区分別科目を学習します。

5. 2026年以降の展望:特定看護師はどう変わる?

冒頭の診療報酬改定の話にも繋がりますが、今後は**「特定看護師の配置」が病院の経営を左右する時代**になります。

 

現在、国は特定看護師を「2025年までに10万人養成」という目標を掲げています(現在はまだ1万人弱)。この乖離を埋めるため、今後は研修費用の補助や、特定看護師が活躍した際の診療報酬加算がさらに手厚くなることが予想されます。

また、病院内だけでなく「在宅・介護施設」での活躍も期待されています。介護施設に特定看護師がいれば、深夜に利用者の体調が急変しても、病院に搬送するかどうかの適切な判断や、点滴等の処置をその場で開始できるため、地域医療の質が底上げされるのです。

 

7. まとめ:あなたは「次のステージ」へ進みますか?

特定看護師は、単なる「資格」ではありません。それは、看護師という枠を超えて、**「医療の質を自らの手で変えていく存在」**になるための切符です。

勉強は大変です。責任も重いです。しかし、医師と対等にディスカッションし、患者さんの異変にいち早く気づき、その場で適切な手を打てる強みは、一生の財産になります。

もし、今の仕事にどこか物足りなさを感じていたり、もっと患者さんの力になりたいと願っていたりするなら。特定看護師への挑戦は、あなたのナース人生をより輝かしく、自由なものに変えてくれるはずです